紀里谷和明ワークショップレポート(2008/7/7筑波) retweet

2009/08/08

このレポートは紀里谷和明氏が2008/7/7に筑波大学にて開催したワークショップの内容を知人で平和に繋がる人間を目指しているマッコさんがまとめたものを本人の許可のもと再編集して掲載しています。

では、さっそくマッコさんのレポートをお届けします。

はじめに

7月7日に筑波大学で開催されたワークショップへ参加してまいりました。会場は教室の中で、黒板の前に紀里谷さんが何事もなく普通にいらっしゃり、まずびっくりしました。

参加者の私達は紀里谷さんを前方に授業を受けるように座っているという風景でした。また学生さん達は教育・書道・アート系など専攻されており、一般の私達も含め教室は満杯でした。

まず「壁」についての話から始まりました。

現代は全て個人個人・縦割り(国・会社・学校など)になっていて、例えば人間は固定観念の色メガネでモノを見ている。それはとても危険なこと。そして今、隣に座っている人との間でさえ壁がある...その後、私達は紀里谷さんに「隣にいる人達と握手をして下さい!」と言われ、軽く挨拶を交わし握手をしました。たったそれだけですが、教室内に笑みがうまれ雰囲気がとても和やかになりました。

ほとんどの人が「世界がおかしい」「何か変だな」と感じている現代に私達は生きています。でも自分一人じゃなにもできないと考えてしまい行動を起こさないままになっている風潮があるのではないかと思います。

そこで今回のようなワーショップを通し、人と人との繋がりや「ん? 何か変だな」と感じる事を様々なフィールドにいる人が集まり、思っている事を話し、ネットワークを繋ぎ、その繋がれたものを活かし、1人が10人、その10人がそれぞれまた10人に...というようにワークショップで感じたものや自分が想うことを他の人に伝えていく事ができれば戦争や環境問題など考えるきっかけにもなり、世界を変えていく事ができるかもしれない。そしてお互いの顔を見て対話することで深いところが繋がっていくのではないかとおっしゃられていました。

その後、紀里谷さんの自己紹介がありました。

驚いたのがヒッピー生活を5年もされていたということです。モロッコから旅が始まり、アラブの人と出会い、パリに行ったり...とエピーソードを交えながら話してくださり、26歳から写真の仕事を始められたとの事です。

経験

ここからアート系を目指される方には特に参考になる紀里谷さんの経験の話に移ります。

スライドで紀里谷さんの初期・中期・現在の写真を見せて頂き、その当時の考えやエピソードを交えながら説明をして下さいました。そしてまず『やりたいと思う衝動を行動に移す』そして重要な事は『できる事をモノでみせる』『モノで感動』まず作ってみる『一発目を作る!』また"アートはフェアな世界。なぜならビジネスは利益、アートは直接こころに響いてくもの"とおっしゃられていました。

また"芸術は世界を変えることができると思いますか?"という質問には「癒していく・少しだけ変える事はできると思う」例えばマドンナやエルトンジョン達も音楽を通してHIVに対する世界の認識を変える事ができているという例を挙げ、お答え頂きました。そして芸術は「神と人間の架け橋」という話もして下さいました。

紀里谷さんは仕事を得るためにニューヨークで毎日雑誌の会社をまわり、ギャラはゼロとの事でしたが、やっと活動開始から6ヶ月後、有名な雑誌に15ページのスペースを得る事ができたそうです。その際、不安になり仕事をくれた青木さんという方に「何を撮ればいいんですか?」と聞いてみたところ、「あなたが好きな写真を撮ればいい」そして「好きな写真を撮るためだったら飢え死すればいいのよ」と青木さんは助言して下さったとの事でした。その言葉にものすごく感銘を受けられたそうです。そしてその仕事から次の仕事に繋がっていかれたそうです。

また「人生の中には『出逢い』がポイントで出てくる」という経験も教えて頂きました。その当時、紀里谷さんの写真は合成や原色を使用した斬新な写真という事で、衝撃的で賛否両論だったそうです。しかしブランドや和・洋などジャンルは関係なく『知識にとらわれない』作品作りに努めるというモットーをもたれ、仕事を続けられていたとの事です。

そういった仕事をされている中、衣装の北村さんに出会い、宇多田さんのPV「traveling」を制作される際「アフガニスタンの子供にもわかるように...」という全てのジャンルを取っ払ったものを作ろうと話され作られたそうです。

また北村さんはCASSHERNの撮影時に衣装をトラック3台分持ってこられたというエピソードも話して下さいました。

北村さんをはじめ一流の人は「いいものを作りたい」という強い気持ちから何に対しても妥協しないというスタイルをもってらっしゃり、その姿勢が伝わってまいりました。

学生さんからの質問で"写真・PVや映画を撮られる際、どのようにアイディアがうかんでくるのですか?"というものがあり、紀里谷さんは「決まった方法はなく、方程式も教えられるものではありません。曲を聴き降りてくる事もありますが、それは『自分達の経験』、いろんなところに行って、いろんな人と会って、経験を積み、そして『自分から経験をしていく』こと。経験以上のものは出てこない。経験から見えてくる」とおっしゃられ、私はなるほどなと頷きました。そして普段の生活の中でも"感じる"ことが大切なのではないかと思いました。

戦争

次に話が変わりますが、紀里谷さんの中には「戦争」というベースがあり、戦争により紀里谷さんのお祖父さんは自ら命を絶たれ、ご両親もとても苦労されたそうです。小さい頃からお祖父さんの話を聞き『死』というものを考える機会が多く、何事も恐がらない子供だったとおっしゃられてました。

そして戦争さえなければこのような悲しみは生まれなかったという想いがあり、CASSHERNや来年公開されるGOEMONにも「なぜ人は戦うのか?」という普遍のテーマがベースになっていると話して下さいました。

20年ほど前、ダルフールという場所で内戦が起き(参考: ダルフール紛争 - Wikipedia)、テレビのニュースで内戦に巻き込まれた男の人のインタビューがあり、その男の人は「愛する人を自分の目の前で兵士の人に強姦され、その姿を見せられ、そして彼女は首を切られ殺された」と取り乱すようにカメラに向かって必死に訴えていた映像をみて、そういった信じられない残虐極まりない事はもうはるか昔に終わっていると頭で思っていた事が"今も"起こっているという事実を知り衝撃を受け、より戦争について考えるようになられたという事を話して下さいました。

そして私達が生きる現在もチベット問題や、資源の奪い合いにより民族が分断され内戦が起こっていたり、水をめぐって争いが起きているという現実があります。

しかしニュースではこのような報道があまりされず、知るべき事が伝わってきていないという状態にあるように思います。

それは私達の"無関心"からきていて、視聴率がとれない内容は放送できない現実があるそうです。

また日本は資本主義なので、会社を恐がっているという現状もあるとおっしゃられていました。その話を聞き人ごとではなく自分も当事者なのだと改めて感じ、もっと世界で何が起きているのかという事を知らなくては! と強く思いました。

メディア

最後の方で紀里谷さんがおっしゃられていた言葉に「今まで生きてきた中でメディアがいっている事はウソだった」「必要でないものを必要と思わせている」「必要なものはすでにある」、特に印象的だったのが「モノを見ると血のにおいがする」とポツリ呟かれていたことです。

それは搾取の問題に繋がっていて、このモノが作られていく過程で人が死んでいるかもしれないと想うとモノを買うのが恐くなるとおっしゃられていました。

実際にモノを減らされている紀里谷さんの切実な想いがストレートに伝わってまいりました。

私も必要なものと必要ではないものをよく考え、真実を見極める目を持っていきたいと思います。

最後に

約2時間半にわたるワークショップでしたが、このワークショップを通して紀里谷さんを通して対話をする事で、学生さんや一般の私達の"想い"が繋がっていくように思いました。

池の表面に小さな石を投げ込んでボツンとした小さな波紋から少しづつ大きな波紋に広がっていくように一人一人の心に繋がっていき、"世界を変えられるかもしれない"と強く感じました。

ここに書ききれないお話もたくさんありましたが、少しでもこのワークショップのことがどこかの誰かとインターネットというツールを活用し繋がることができ、お伝えできるとすればとても嬉しく思います。

(その他のレポート)

紀里谷和明ワークショップ感想まとめ

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