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Raspberry Pi 3の初期セットアップ(Raspbian Jessie Lite)

2016/10/10更新

対応バージョン: Raspbian Jessie Lite - September 2016

Raspberry Pi 3にOSをインストールして最低限必要な設定(ローカル環境、Wi-Fi接続、SSHサーバ)を行う手順を示す。

OSはGUI環境を持たないRaspbian Jessie Liteを使用し、GUIに関する設定(フォントやインプットメソッドなど)は行わない。

設定(必須)

ロケール設定
タイムゾーン設定
キーボードレイアウト設定
Wi-Fi設定
SSHサーバ有効化
ソフトウェアアップデート

設定(任意)

ホスト名変更
デフォルトアカウントpiのパスワード変更
SSHのパスワードなしログイン設定

インストール

まずOSを書き込むmicroSDカードをFAT32でフォーマットする。ここでは16GBのメディアを使用し、デバイスは/dev/sdeであるものとする。

% umount /dev/sde1
% sudo mkfs.vfat -v -c -F 32 /dev/sde1
% sudo fdisk -l /dev/sde
Disk /dev/sde: 14.9 GiB, 16013852672 bytes, 31277056 sectors
Units: sectors of 1 * 512 = 512 bytes
Sector size (logical/physical): 512 bytes / 512 bytes
I/O size (minimum/optimal): 512 bytes / 512 bytes
Disklabel type: dos
Disk identifier: 0x14c20151

デバイス   起動  Start 最後から セクタ  Size Id タイプ
/dev/sde1         8192   137215  129024   63M  c W95 FAT32 (LBA)
/dev/sde2       137216  7849983 7712768  3.7G 83 Linux

次にRaspbianのダウンロードサイトからRASPBIAN JESSIE LITEの「Download ZIP」をクリックしてイメージファイルをダウンロードする。

このイメージファイルを解凍してmicroSDカードに書き込む。

% unzip 2016-09-23-raspbian-jessie-lite.zip
% sudo dd if=2016-09-23-raspbian-jessie-lite.img of=/dev/sde bs=1024

このmicroSDカードをRaspberry Piにセットして電源とディスプレイを繋げばRaspbianが起動する。

 

設定(必須)

ここから実際に設定を行っていくのでデフォルトアカウントのpi(パスワード:raspberry)でログインする。

設定は基本的にraspi-configというメニュー形式のツールで行い、一部はコマンドとエディタを使用する。

% sudo raspi-config

ロケール設定

デフォルトで英国(en_GB.UTF-8)に設定されているロケールを日本語(ja_JP.UTF-8)に変更する。

[5 Internationalisation Options] > [I1 Change Locale]を選択するとロケール選択画面が表示されるのでデフォルトで選択されている[en_GB.UTF-8 UTF-8]のチェックの他に[ja_JP.UTF-8 UTF-8]をチェックして[OK]を押す。

デフォルトロケールを設定する画面が表示されるので[ja_JP.UTF-8]を選択して[OK]を押す。

タイムゾーン設定

タイムゾーンをAsia/Tokyoに設定する。

[5 Internationalisation Options] > [I2 Change Timezone]を選択すると地域選択画面が表示されるので[Asia]を選択し、次の都市/地域名で[Tokyo]を選択して[OK]を押す。

キーボードレイアウト設定

キーボードレイアウトを日本語キーボードに設定する。

まず[5 Internationalisation Options] > [I3 Change Keyboard Layout]を選択するとキーボードモデル選択画面が表示される。

一般的な日本語キーボードを使用している場合は[Generic 105-Key (Intel) PC]を選択する。

次のレイアウト選択画面では[Other]を、国選択では[Japanese]を、キーボードレイアウトでは[Japanese]をそれぞれ選択する。

最後にAltGrキーとComposeキーの設定画面が表示されるので必要に応じて設定する。

Wi-Fi設定(国設定)

国によってWi-Fiで使用できるチャンネルが変わるので国を日本に設定する。

[5 Internationalisation Options] > [I4 Change Wi-Fi Country]を選択すると国選択画面が表示されるので[JP Japan]を選択して[OK]を押す。

尚、実際の接続設定はCUIで行う必要があるので後述する。

SSHサーバ有効化

外部からSSHによるリモートアクセスができるようにSSHサーバを有効化する。

[9 Advanced Options] > [A4 SSH]を選択すると「Would you like the SSH server to be enabled?」と聞かれるので[Yes]を選択する。

ここまで設定を終えてraspi-configのトップ画面で[Finish]を押すとOS再起動を促されるのでいったん再起動する。

ログインプロンプトが出たら設定完了である。

Wi-Fi設定(接続設定)

先ほど国設定を行ったWi-Fiについて、実際の接続設定を行う。

ここでは認証方式をWPA2、IPアドレスの取得方法をDHCPとして説明する。Wi-Fiアクセスポイント、DHCPサーバはそれぞれ使用可能な状態にあるものとする。

まずWi-Fiのインタフェースが存在することを確認する。wlan0が見えていればOKである。

% sudo iwconfig wlan0
wlan0     IEEE 802.11bgn  ESSID:off/any  
          Mode:Managed  Access Point: Not-Associated   Tx-Power=31 dBm   
          Retry short limit:7   RTS thr:off   Fragment thr:off
          Encryption key:off
          Power Management:on

次にこのアクセスポイントに接続する設定を/etc/wpa_supplicant/wpa_supplicant.confに書き込む。

network={}行にESSIDと接続キーをそれぞれ指定し、暗号化方式に「WPA-PSK」を指定する。

% sudo vi /etc/wpa_supplicant/wpa_supplicant.conf
country=JP
ctrl_interface=DIR=/var/run/wpa_supplicant GROUP=netdev
update_config=1

network={
	ssid="<ESSID>"
	psk="<接続キー>"
	key_mgmt=WPA-PSK
}

尚、ESSIDがANY接続拒否(ステルスモード)になっている場合は「scan_ssid=1」を追記する。

またデフォルトでインタフェースのパワーマネジメントが有効になっている関係で動作が不安定になることがあるので/etc/network/interfacesに「wireless-power off」と記述してパワーマネジメントを無効にしておく。

% sudo vi /etc/network/interfaces
:
allow-hotplug wlan0
iface wlan0 inet manual
    wireless-power off <- 追記
    wpa-conf /etc/wpa_supplicant/wpa_supplicant.conf
:

ここまでできたらOSをいったん再起動すればWi-Fiに接続してDHCPサーバから自動的にIP情報が割り当てられる。

iwconfigとip aコマンドの結果はそれぞれ以下のようになる。

% sudo iwconfig wlan0
wlan0     IEEE 802.11bgn  ESSID:"<ESSID>"  
          Mode:Managed  Frequency:2.462 GHz  Access Point: xx:xx:xx:xx:xx:xx
          Bit Rate=65 Mb/s   Tx-Power=31 dBm   
          Retry short limit:7   RTS thr:off   Fragment thr:off
          Encryption key:off
          Power Management:off
          Link Quality=44/70  Signal level=-66 dBm  
          Rx invalid nwid:0  Rx invalid crypt:0  Rx invalid frag:0
          Tx excessive retries:2  Invalid misc:0   Missed beacon:0

% sudo ip a
:
3: wlan0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc pfifo_fast state UP group default qlen 1000
    link/ether xx:xx:xx:xx:xx:xx brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
    inet xxx.xxx.xxx.xxx/xx brd xxx.xxx.xxx.xxx scope global wlan0
       valid_lft forever preferred_lft forever
    inet6 xxxx::xxxx:xxxx:xxxx:xxxx/64 scope link 
       valid_lft forever preferred_lft forever

ソフトウェアアップデート

ネットワークに接続できるようになったのでソフトウェアアップデートを実施する。

% sudo apt update
% sudo apt upgrade

設定(任意)

必須ではないが必要に応じて以下の設定も行う。

ホスト名変更

ホスト名はデフォルトで「raspberrypi」に設定されているので任意のホスト名に変更する。

% sudo LANG=C raspi-config

[9 Advanced Options] > [A2 Hostname]を選択すると「Please note: RFCs mandate that a hostname's labels may contain only the ASCII letters 'a' through 'z'...」としてホスト名の命名基準が示されるので[了解]を押す。

続いて「Please enter a hostname」として現在のホスト名が表示されるので任意のホスト名を入力して[了解]を押す。

デフォルトアカウントpiのパスワード変更

piアカウントのパスワードはデフォルトでは「raspberry」に設定されているので任意のパスワードに変更する。

[2 Change User Password]を選択すると「You will now be asked to enter a new password for the pi user」として新しいパスワードが設定できる旨が表示されるので[了解]を押す。

raspi-configの画面から抜けて「Enter new UNIX password:」と表示されるので任意のパスワードを入力する。

ここまで設定を終えてraspi-configのトップ画面で[Finish]を押すとOS再起動を促されるので再起動すれば設定完了である。

SSHのパスワードなしログイン設定

以下を参照して同設定を行う。SSHバージョン1のRSA鍵を作る方法にすればRaspberry Pi(サーバ)側の設定(/etc/sshd/sshd_config)は変更しなくてよい。

関連資料・記事

参考サイト