犬との生活の中で

2007/08/15

我が家には4才になるワンコがいます。しかし、妻も僕も数年前までは大の犬嫌いでした。犬に噛まれた経験や性格の悪い犬をいろいろ見てきたことなどが原因でした。

ところがふとしたことがきっかけで妻が犬に触れるようになり、あれほど苦手だった犬がとても身近に感じられるようになって色々な犬と触れ合っていくうちに彼女のトラウマはあっけなく氷解。ほどなくして犬が飼いたいと思うまでになったのです。

そして運命の日、3年前の夏祭りの日に彼は我が家にやってきました。僕は犬を飼うことには同意したものの、その時点ではまだ犬が嫌いなまま。そこから苦悩の日々が始まりました。何しろ苦手な生き物と一緒に暮らすのです。におい、鳴き声、抜け毛、いたずら...すべてがイライラの種です。

そんな生活が数ヶ月続き、僕の中に変化が生まれ始めたのを感じました。自分の子供が赤ちゃんだった頃と何か似ているような気がしたのです。ワンワン吠えるのは寂しいから?いたずらするのは遊んで欲しいから?そんな風に考えていたら犬の行動の一つ一つに意味があることが分かったのです。

そしてふと考えました。「この子は好きでうちに来たわけじゃないんだ。飼い主の都合でうちで暮らすことになったんだから愛してあげなければ彼にも彼の両親にも失礼ではないか」と。犬にも心があって何か行動する時には理由があることが理解できてからはどんどん情が湧いてきて、それに比例して意志の疎通もできるようになっていきました。ペットから家族への昇格です。

彼を見ていて気付くこと、それは人間がいかに欲が深くて迷いが多い生き物なのかということです。人間以外の動物は皆、生まれながらに持っている自分の運命を背負い、多くを求めず、嘘をつかず、ありのままを受け入れる、

人間は少しでも便利に、少しでも豊かな生活を送ろうといろいろなことをしてきました。自分が目にできないものでもその想像力で「概念」を作り行動によってそれを具現化する、文字を通じて先人の知恵を後世に伝えていく、道具を使い個の能力以上のことを実現する...そうやって人類は発展を続けてきたわけですが、それが人間同士の争いに発展したり自然の調和を破壊したりしたのでは全く意味がありません。

犬と一緒に暮らしてみて、人間とは何なのか、本当の豊さとは何なのかと改めて自問しているところです。ペットと暮らしているかたのみならず、身近な動物や動物園・水族館などで出会う動物との関係を通じ、癒しだけでなくそういったことにも皆が目を向けてくれるよう切に願っています。