アナログ感たっぷりの活版印刷体験(印刷博物館)

2011/02/23

江戸川橋にある印刷博物館は印刷に関する知識がその歴史とともに総合的に学べる充実の施設ですが、その一角に活版印刷が体験できるコーナーがあります。入場料を払って博物館に入館すれば無料で体験できます。

先日ここで実際の印刷体験をしてみました。所要時間は30分です。

全体を通して一つ一つの工程が単純化されていることと、スタッフのかたの丁寧な指導で迷うことなく作業ができました。

以下、工程毎の作業とともに活版印刷の主な手順を紹介します。

原稿作成

まず印刷したい文章を決め、メモに書きます。

文選 & 植字

文字は一つ一つがハンコのような金属製の「活字」として活字ケースに収められており、先ほど書いた文章を一文字ずつ活字ケースから探してきて版木に積めていくんですが、この作業が宝探しみたいでとにかく楽しい!

一緒に参加した人達とみんなでワイワイ言いながらお目当ての文字を探し、活字箱に置いていきます。

必要な文字が揃ったら版木に移し、文字間の隙間を調整するための金属を入れたりそれぞれの文字を平らに揃える作業を行って「版」を作ります。

印刷

ここまでできたらいよいよ印刷です。

まず先ほど作った版木を機械にセットしておき、ゲラ刷り(試し刷り)用の紙と本番用の自分の好きな紙を数種類選んで一枚一枚印刷機にセットしてはガチャンガチャンとレバーを操作して印刷していきます。

この印刷機、機能性とデザイン性をあわせ持った素晴らしい機械で、インク付け・インク台送り・印刷の連携における操作時のギミックも素晴らしい!触っているだけでテンションが上がります。

操作時の圧力不足やインク不足による文字のかすれなども味になります。

こうしてできあがった印刷物には手作業ならではのなんともいえない風合いがあり愛着も人一倍わくとともに、やはり自分の手で作り出すものは体で感じる実体験と相まって自分との距離の近さが違うと思いました。

普段コンピュータを通してバーチャルな世界でモノを作っている身としては、今回に限らず人間の手でダイレクトに何かを作り出すというアナログ感覚をずっと忘れずにいたいという気持ちを新たにしました。

この活版印刷体験は季節感を取り入れて都度違うものを題材にしながら通年利用できるそうなので、興味のあるかたは一度体験してみてはいかがでしょうか。印刷に対する理解が深まるのと同時に印刷物への思い入れが増すと思います。