2015/06/13
ここ最近、何かと話題のドローンについてメディアの論調に惑わされないようにしっかり勉強しようと思い、OSS Japan主催の「OSSエンジニアのための(はじめての!)ドローン勉強会」に行ってきました。

会場はリレーションズさんのおしゃれなミーティングスペース。
OSS Japan代表今駒哲子さん司会のもと、自らドローン(マルチコプター)の開発に取り組んでいるハードウェアエンジニアの今村博宣さんがドローンを取り巻く現状について技術・政治・倫理など様々な視点から解説してくださいました。
まず驚いたのは日米のドローンの定義の違いについて。
アメリカではドローンは航空機に分類され無人で遠隔地からパイロットが操縦するもの、つまり「無人航空機」という扱いで、日本で一般的にドローンと呼ばれているものは実はマルチコプター(ラジコン)なのだということでした。
そもそもの成り立ちからしてアメリカではまず軍事用にドローンが開発されそれが民生用へと発展してきたのに対し、日本では従来のラジコンよりもインテリジェントで様々な用途に使えるマルチコプターがその形状とも相まってドローンと呼ばれているだけなのだということが分かりました。
この違いが分かったおかげで日米の動きの方向性が分かるようになりました。
アメリカでは現稼動している航空管制システムにドローンを組み込むべくNASAが開発を進めているのに対し、日本ではラジコンと同じように飛行区域や利用シーンを特定する形でのルール作りが急速に進んでいます。
どちらのアプローチがより良い方向なのかは現時点では分かりませんが、長期的に見て根本的な取り組みを行なっているアメリカに一日の長があるような気がします。
また現在のドローンのコントローラ・ソフトウェアが企業による提供のためブラックボックスなのに対し、オープンソースのDroncodeプロジェクトによるオープンな実装も始まっており、両者が併存することで健全な競争と発展が期待できると感じました。

勉強会の後半には参加者のかたが実物のマルチコプターを披露して下さって、スマートフォンから操作できるだけでなくScratchを使ったGUIプログラミングによる制御まで可能になっていました。
参加者のみなさんも一様にテンションが上がり、撮影会になりつつ活発な議論が交わされていました。
普段ソフトウェアばかりを扱っている人間としてはやはり実機が目の前にあるというインパクトはすごいものがあります。
実際に手に触れてこそその可能性やリスクを実感できるのだと思いますし、これからドローン・マルチコプターの適用範囲は確実に広がっていくと予想されるなか、適切なルールと適切な報道のもとで健全な発展を期待しつつ我々エンジニアはハードウェア・ソフトウェアの垣根を超えてこのような場をもって交流しつつ、何をすべきなのか・何をすべきでないのかといったことを自問しながらその発展に寄与していく使命を持っているのだと感じました。
尚、ドローン関係の情報をウォッチするにはこちらのTwitterアカウントがオススメです。
@drone_borg (ドローン専門メディア「DRONE BORG」)
またFacebookグループもあって情報共有や活発な議論が行われていますので興味があれば参加してみてはいかがでしょうか。
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